2011年にフルモデルチェンジされ、7代目となったポルシェ伝統のスポーツカー911(991型)カレラが入庫。先代(997型)からエンジンが3.4Lと、ダウンサイジングされるもパフォーマンスをアップした1台である。
ボディーはマットブラックへフィルム施工してあり走っている姿を見かけるとつい目で追ってしまうようなビジュアルを演出。派手な塗装で人目を集めるよりも秀逸な存在感で訴えかけたいというドライバーに人気のカラー
マットブラックの歴史は古く特にアメリカのカーカスタム界では60年以上前から行われてきた。近年ではメーカーの純正カラーにも採用されるようになりアヴェンタドールといったスーパーカーでも使われ話題になった。
マットブラックは、影と同化したような重厚感のある雰囲気になるのが魅力。艶消しされたブラックのボディーは非常に迫力があり、通常塗装の車と並んでいても秀逸の風格が目を惹きつける。
マットブラックのボディカラーは道行く車の中でも、ひと際異彩を放っている。重厚感を感じさせシンプルでありながらその存在感は「カッコ良い」の一言につきる。マットにするだけで同じ車にはない個存在感を生み出す
911の歴史の中で、モデルが新しくなったにも関わらず、エンジン排気量をダウンサイズしたのは二度あった。最初は、993カレラの空冷3.6Lから996カレラ前期型の水冷3.4Lとなったとき。そして二度目がこのモデル。
997カレラの水冷3.6Lユニットは、991カレラで水冷3.4Lとなった。高性能さと実用性という相反することを、高次元で両立させてきたのが、ポルシェの技術力であり最大の魅力である。
エンジン馬力は先代(997型)が345馬力に対して350馬力と5馬力アップ。動力性能は、0-100km/h加速は997カレラ後期型が4.7秒なのに対し、991カレラは4.6秒。最 高速は287km/hでまったく同じとなる
3.4Lまたは3.8Lの自然吸気エンジンを搭載していた前期カレラ系は、俗に「991.1」と呼ばれているが、2015年9月以降の3Lターボエンジンに変わった後期型カレラ系は「991.2」と俗称されている
991.1はポルシェ911の歴史の中で、自然吸気の水平対向6気筒エンジンとしては最終モデルとなる。自然吸気ならではのアクセルを踏んだ時のレスポンスはエンジン出力を右足でコントロールする楽しさや爽快感がある
エンジンは997型のエンジンをベースに新開発され、行程が82.8mmから77.5mmに短縮された。911カレラのエンジンは、981型のボクスターSと同一【セッティングは異なり高回転型になる】
減速時に集中的にバッテリーへの充電を行う回生システムとアイドリングストップ機能も導入アイドリングストップはオフにしてもイグニッションをオフにするたび再有効化されるがスポーツモードを選択するとオフになる
スポーツモードをオンにするとサウンド・シンポーザシステムのバタフライバルブが開き振動板を経由した共鳴管の脈動音が後部座席の背面下側の30ミリの管から室内に伝導される
トランスミッションはPDKとなりPDKとはポルシェが開発したデュアル式オートマチックトランスミッション。このシステムによりプロドライバーのマニュアルシフトを超える素早いシフトチェンジがオートマで可能になった
1速、3速、5速、7速を奇数段用クラッチに2速、4速、6速を偶数段用のクラッチに振り分け接続。次のギアのドグクラッチを繋ぎ待機させたり2つのクラッチを同時に半クラ状態にできる為連続的に素早い変速が可能
PDKの開発は1960年代後半と古く、ポルシェのトランスミッション開発部門のエンジニア、イムレ・ゾッドフリッドによって考案された
ポルシェのトランスミッション開発部門はシンクロメッシュ機構という画期的なMT技術を開発し次なる目標としてDCTの開発を掲げた。ゾッドフリッドはそのアイデアをポルシェの開発責任者フェルナンド・ピエヒに提案
当時のATは欠点も多く、MTの伝達効率とATの操作性を併せ持つPDKの開発が目指された。だが、当時の技術では高性能な電子制御機器や油圧バルブなどが不足していたため、PDKの開発は一時停止となった。
しかし、1980年代初頭になると、エンジニアのライナー・ヴューストが社内でPDKのプロトタイプを発見し、再開発に着手。その後、油圧式への改良や電子制御機器の組み込みなどを行い、PDKは採用目前のレベルまで到達
そこでPDKをグループCカーのポルシェ956に搭載し、実際のレースで試すことになった。956はPDKの採用によりシフトスピードの向上や確 実なシフトダウンが可能となり、コーナー進入時にブレーキの使用が容易となる