マニュアル車は楽しい おすすめ3台

マニュアル車は楽しい おすすめ3台

時代遅れじゃない

世の中には、なくなりそうでなくならない、一見不便なモノがあります。例えばガラケーは、スマホに比べてはるかに不便ですが、それでも根強いファンがいて生産が続いています。
マニュアル車もそのたぐいで、クラッチという余計なものがついていたり、エンストという迷惑な現象も起きます。ところがやはり、熱狂的なマニュアル車ファンのために自動車メーカーはクラッチの付いた車をつくり続けています。
マニュアル車の楽しさを再発見できる3台を紹介します。



マニュアルはスポーツカーの必須アイテム

マツダ|ロードスター 価格帯249万~320万円(新車)
オートマ車の便利さを捨ててでもマニュアル車を運転したい人は「車を操作している感じ」を得たいからではないでしょうか。マニュアル車の運転では、ギアを1速に入れてスタートさせてから、スピードとエンジン回転数の上昇に合わせてシフトレバーを動かしていきます。カーブにさしかかったらギアを落としますが、適切なギアを選ばないとカーブを抜けたときに気持ちよく加速しません。
そのような運転のフィーリングを存分に味わえるのは、スポーツカーです。それで日本のスポーツカーのレジェンドであるロードスターにも、いまだにマニュアルの設定があります。
マツダは、ロードスターを買う人の好みを熟知していて、マニュアルの操作性に気を使っています。ギアを変えるときに左手を添えるシフトノブは、先端が球形になっていてクラシカルな印象が好感できます。
さらにそのシフトノブは、ショートストローク化されています。ショートストロークとは「短い柄」のことです。シフトノブを短くすることで、シフトチェンジするときに左手を大きく動かす必要がなくなります。手首でクイックイッとやるだけでギアチェンジができるので、軽やかに操作できるのです。
シフトノブを含めたマニュアル装置は、ロードスターの「味」になっています。ちなみにロードスターにもいまはオートマ仕様もあります。

さすが「みんなのトヨタ」この車への設定も忘れていない

トヨタ|カローラ・フィールダー 価格帯163万~247万円(新車)
カローラといえば実用車のトップランナーです。ワゴンタイプであるカローラ・フィールダーは、その上をいく究極の実用車といえるでしょう。というわけで、カローラ・フィールダーは、便利なオートマ車がメーンとなっています。
ところがそのカローラ・フィールダーにマニュアル設定車があるのです。これは実はすごいことなのです。
スポーツカーであれば、ファンがマニュアルを強く望んでいるので、マニュアル車を設定することは販売に結び付きます。しかし実用車にマニュアルを望む人は、ごくわずかです。
1つの車種にオートマとマニュアルを用意することは、自動車メーカーにとっては、開発でも製造でも2倍のコストがかかります。オートマ1本に絞りたい、それがメーカーの本音でしょう。
それでもトヨタはあえて、「オートマ車が苦手なんだよな」という運転手用に、究極の実用車であるカローラ・フィールダーにもマニュアルを用意しているのです。トヨタの懐の深さを感じます。



シンプルな構造がファンを集める

スズキ|ジムニー 価格帯130万~163万円(新車)
オフロードの走破性において、トヨタ・ランドクルーザーと肩を並べるのが、スズキのベストセラー軽自動車のジムニーです。ユーチューブでは、大雪の国道で立ち往生した大型トラックをジムニーが牽引している動画が投稿されていて、ジムニーオーナーを誇らしい気持ちにさせています。
ジムニーオーナーの多くは、自分で整備したりカスタムしたりして楽しむ傾向があります。そのとき威力を発揮するのが、マニュアルのシンプルな構造です。
オートマはマニュアルに比べ、はるかに利点が多い仕組みです。ただ、マニュアルは昔ながらの仕組みなので、部品交換や修理が簡単というメリットがあります。
また構造がシンプルということは部品も安いということですので、ジムニーでも、マニュアル仕様はオートマ仕様より10万円ほど安くなっています。
そしてスポーツカーと同じくらい、オフロード車には「車を操作している感じ」が求められます。両手両足を忙しく動かしながら、荒れた道や岩場や急こう配の坂道を通り抜けたとき、ドライバーは達成感を得られます。
ジムニーは2018年にも十数年ぶりのフルモデルチェンジが行われる予定ですが、マニュアルが消えることはないでしょう。

まとめ~消えゆく運命なのか

日産が、スポーツカーのGTRからマニュアル設定を外したときに、ファンから嘆きの声が聞こえました。日産がGTRからマニュアルを廃止したのは、車の性能があまりに向上したため、人間のマニュアル操作では対応しきれなくなったためです。
オートマは便利なだけでなく、実は有能なのです。そして近い将来に主流になるとされている電気自動車には、そもそもマニュアルを装着することすらできません。
マニュアル車は消えゆく運命にあるといえます。しかし完全になくなってしまうまでにはまだ時間がありますので、それまでじっくりマニュアル車を堪能してはいかがでしょうか。