愛車のタイヤに窒素ガスを充填するメリットはあるのか?

窒素ガスを充填する意味は?
タイヤ専門店や量販店のタイヤコーナーにおいて、「タイヤに窒素ガス」を入れることを推奨する文言が目につきます。主に「走り屋」の若い人向けで、スポーツタイヤと思われるぶっといタイヤ用なのか、一般のドライバーと車には関係ないとは思うものの、ただガスを入れただけで良い効果が得られるのでしょうか?料金も1台で2.3千円ぐらいということから、燃費や乗り心地などに影響があるのなら試してみたいと思う人も多いのではないでしょうか?そもそも窒素ガスがどんなガスなのもわかりません。そこで、この窒素ガスをタイヤにいれた場合のメリットと、デメリットをまとめてみました。
実感できそうもない窒素ガスを充填するメリット
メリットは「空気が抜けにくい」「乗り心地の向上」「空気圧が安定する」ということですが、本当でしょうか?「空気が抜けにくい」という根拠は、窒素ガスの分子がタイヤのゴム分子より大きいので窒素は抜けにくく(透過率が低い)性質的に安定しているからという事。これは説得力がありますが、普通に乗っていて、空気が抜けることってパンクでもしない限りめったにありません。もともと窒素は空気中に最も多く(酸素ではありません)含まれているで、窒素ガス100%であっても効果を実感するのは難しいでしょう。「空気圧が安定する」というのは熱に対して変化が少ないというものですが、だから?という程度。今市販されているタイヤで、夏に大変なことになる製品は聞いたことがありません。
それでも極限状態なら効果はある
この分で行くと、具体的な数値はありませんが、「乗り心地の向上」というのも、空気圧やタイヤの性能差以上に感じることは無理でしょう。では、まったく無駄なのかといえば、扁平率の高いタイヤの場合は空気抜けが一般のサイズのタイヤより大きいので、「抜けない」というメリットは十分ありそうです。また、しっかりとした環境で充填されれば、タイヤにとって良いことは間違いないですし、性能についても、その向上は感じられなくても、劣ることはけっしてありません。自動車レースなどでは以前から当たり前のように使われていることを見ても、極限状態においては優れたパフォーマンスを発揮するのも確かなのです。
タイヤに窒素ガスを充填するデメリットはあるのか?
では、デメリットはあるのでしょうか?充填時に不純物(水分)が入らない限りは、デメリットはなさそうですが、気になるのが、タイヤメーカーも自動車メーカーも、今の時点では、通常の市販タイヤに窒素ガスの仕様を標準として指定した、窒素ガス専用タイヤがないことです。タイヤメーカーとしては、わずかな差であっても、空気を充填することを前提とした構造であるタイヤであって、窒素ガスの仕様は考慮されていないという事です。専用タイヤを作るには、まったく新しく設計しなおさなければならず、大きな性能差が得られないからこそ、余分なコストはかけられないという事になります。気になるのはそのくらいでしょうか。
まとめ
窒素ガスをタイヤに充填する意味は、その効果の度合いを別にすれば確かにあります。体感できるほどの効果がなくても、クルマやタイヤに悪影響を与えることはありません。ただ、一般の公道でそのメリットが実感できるかどうかは眉唾もので、数あるエアロパーツと同程度の、他の車と自分の愛車は違うのだという自己満足と、同乗者や仲間内での「うんちく」話には最適といったところ。ようするに、そういう物がそういう利用であるのだと知っていれば、カーショップで進められた時の判断材料になりますね。