トライアンフという英国のバイクメーカーが選ばれる理由

トライアンフという英国のバイクメーカーが選ばれる理由

英国独特の歴史。そして製品が醸し出す雰囲気

トライアンフというバイクメーカーをご存知でしょうか?130年にも渡る長い歴史があり、一部ではアメリカのハーレー・ダビッドソンより古く、市販されるバイクメーカーでは最も歴史のあるメーカーだと言われることもあります。
ここ近年、日本でもトライアンフのバイクを見かけることが多くなりました。『ボンネビル』に代表されるクラシックタイプには、往年のバーチカルツイン(並列2気筒エンジン)を彷彿とさせる、古き時代を感じさせるスタイリングが脈々と継承されています。
英国車が醸し出す雰囲気には、他にはない圧倒的な「何か」があります。18世紀に産業革命が起きた英国から届く、最高の芸術品がトライアンフなのです。

クラシックな車種と時代をリードする革新モデルの共存

先述のとおり、トライアンフには『ボンネビル』を始めとするクラシックなモデルがラインナップされています。英国車の正統な血統を受け継ぎ、バーチカルツインから生まれるサウンドには誰もが心を躍らせることでしょう。
一方、トライアンフはバイク業界をリードするモデルもラインナップさせていることをご存知でしょうか?『スピードトリプル』に代表される3気筒ストリートファイターモデルです。マッスルな外観と、3気筒独特のエキゾーストノート、独自設計のエンジンから繰り出されるスロットルレスポンス。
現代のトライアンフには、往年の英国スタイルと業界をリードする革新モデルの2本柱があるのです。



クラシックモデルは、ゆっくり流すのに向いている?

国産モデルでいうと、残念ながらすでに生産中止が発表されたKawasakiのW800と比べられることが多い2気筒クラシックモデル。しかし、その両者は明らかに違います。W800は低速から安定しているのに対し、トライアンフの865cc空冷ツインは意外にも高回転型なのです。1度試乗されてみるとおわかり頂けるかと思うのですが、スロットル開度に対してリニアなレスポンスを示すのです。カーブを抜ける際にスロットルを大きく開けると、それに伴ってリニアな加速を得られることを意味しています。
ボンネビルは外観もWとよく似ておりますが、オリジナルはやはり「羊の皮を被った」トライアンフです。

時代の流れに逆らえず。クラシックモデルもFI&水冷化!

消えゆく空冷エンジンを想うと寂しく感じるライダーの方々も多いのでは、と思います。残念ながら、時流は電子制御化、そして水冷化にシフトしています。これによって多くのモデルが製造中止へと追いやられています。
そして、古きスタイルを継承するトライアンフも例外ではありません。2010年には空冷モデルがFI化。そして2016年にはなんと水冷化し、一部のモデルでは排気量を従来の865ccから1,200ccにまでアップ!トライアンフの空冷バーチカルツインがなくなってしまうことに、世界中のライダーが時代の流れを感じたことでしょう。
しかし、そこは生粋の老舗英国メーカー・トライアンフ。水冷のツインも「らしさ」を感じる仕上がりになっているのです。



2,300cc!量産車最大排気量のモデルも

その排気量は、なんと2,300cc!『ロケット3』という名のモンスターバイクも、トライアンフのラインナップにあります。
2つ目の独特なフロントマスク、巨大なエンジンに巨大なガスタンク。その圧倒的なスタイリングは、トライアンフだからこそ生み出せる無骨さと美麗さを兼ね揃えたものです。3気筒2,300ccから生み出される圧倒的なパワーは、他の追従を許しません。それでいて、ライダーには乗り心地の良いポジションを提供しているのです。個性と乗り味が共存する、世界でも稀有な存在であるロケット3。
こんなモンスターマシンで、ただ綺麗な景色を観るためにぶらっとツーリングに出るのもいいですね。

まとめ

1960年代のイギリス。革ジャンに身を包み、リーゼントをきめ単気筒の単車でぶっ飛ばす若者たちがいました。彼らは「カフェレーサー」あるいは「ロッカーズ」と呼ばれ、バイクの歴史に残るムーブメントになりました。トライアンフはその当時から彼らに憧れられる対象のメーカーの1つでした。彼らが好んで乗っていたバイクが魅力的ではないわけがありません。当然、彼らのような乗り方が推奨されることはありませんが、この時代にはそのスタイルだけが見事に引き継がれているのです。
世界には様々なバイクメーカーがあり、いずれも長所と短所があることでしょう。ですが、トライアンフが何らかのかたちで他メーカーがつくるバイクの見本になったことは、意外と知られていない事実です。