知られざるスパイクタイヤの現状を徹底解説!

知られざるスパイクタイヤの現状を徹底解説!

大きく流行したスパイクタイヤとは?

スパイクタイヤとはタイヤの表面にスタッド(鋲や短い釘のようなもの)を打ち込んだものです。この鋲道路の表面に刺さることによって雪道や凍結した道を滑ることなく走ることができます。凍結した道路でのグリップ力が非常に高く、日本でも気温が低くなる地域では重宝されました。日本でも1962年頃からスパイクタイヤが開発、生産され、高度経済成長期の1970年代に本格的に広まりました。特に寒冷地ではスノータイヤにとって代わり、実に100%に近い装着率となった時期もありました。 この理由にはタイヤチェーンの脱着が必要ないことも含まれています。

スパイクタイヤの大きな欠点

ではなぜ、スパイクタイヤが衰退していったのでしょう。そのいきさつを解説していきます。
きっかけは宮城県仙台市から始まったスパイクタイヤ被害でした。当時「仙台砂漠」と揶揄されるほど深刻な被害が出たため、このフレーズが記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。道路や車、周辺の建物が粉塵で真っ黒になる箇所も見受けられ、仙台市民から街中がほこりっぽいとの意見が出されました。
これを機に、1981年から本格的にスパイクタイヤによる粉塵について議論や研究が始まり、1990年には「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」ができました。このことから基本的に、スパイクタイヤの使用は禁止、日本のタイヤメーカーも生産を中止し、スタッドレスタイヤの研究を強化していくことになります。


例外で認められるスパイクタイヤの使用条件とは?

緊急で使われる救急車や消防車、除雪車、警察や路面状態を調べるパトロールカー、緊急自動車に指定された自衛隊の車両、そしてカラダに6級以上の障害を持っている身体障害者の方が運転する自動車、原動機付自転車(125cc以下のバイク)軽車両にあたる乗り物(自転車など)にはスパイクタイヤ禁止の法律は適用されないことになっています。また一般の場合でもスパイクタイヤの使用が許されている指定地域がありますので、各都道府県で調べてみるとよいでしょう。日本の道路舗装率は相当高いので、指定地域も減ってきているのかもしれません。

スパイクタイヤは現在も需要がある

一部の地域に限られてしまいますが、北海道には「北海道スパイクタイヤ対策条例」が存在します。一部の地域に限られてしまいますが。その「北海道スパイクタイヤ対策条例」は絶対にスパイクタイヤを使用してはいけない規制期間とケースバイケースでスパイクタイヤを使用してもやむなしという抑制期間が設定されています。というわけで、スパイクタイヤの需要はまだ完全になくなったわけではありません。ノルウェーなどスパイクタイヤが認められている国から実際に輸入しているタイヤショップがありますし、直接タイヤにスタッドを打ち込んでくれるところもあります。またAmazonなどネット通販でも簡単に買うことができます。


スタッドレスタイヤはスパイクタイヤに勝てないのか?

現在日本の冬道を走る場合はチェーンを巻くか、スタッドレスタイヤを履くかの二択になります。しかしスタッドレスタイヤの性能も大きく向上し、チェーンを巻く機会も大きく減ってきました。先ほど緊急で使われる車はスパイクタイヤを使っても構わないことを説明しましたが、現在はほとんどの車がスタッドレスタイヤを使用しています。これは日本のメーカーがスパイクタイヤを生産していないことが大きな原因だと思います。このスタッドレスタイヤとスパイクタイヤの比較について論じられることがよくありますが、スパイクタイヤの方が滑りにくいという声がまだまだありますので、スタッドレスタイヤにはもう少し頑張ってほしいですね。

まとめ

スパイクタイヤの全盛期を知っている40歳以上の方が対象ではないかと想像しますが、最近は完全に終わりを告げたかのように情報が無くなってきました。しかし寒冷地では根強い人気がありますね。ヤフーオークションやメルカリでも絶え間なく出品されています。またモータースポーツの中で雪道を走行する競技も日本で行われているので、スパイクタイヤを経験してみたい人には打ってつけですね。ちなみにスパイクタイヤの条例違反を犯してしまった場合は10万円以下の罰金が科せられますので、軽い気持ちでスパイクタイヤを使用しないように気をつけましょう。