相性が悪い… クリーンディーゼルエンジンが軽自動車に使えない理由とは

相性が悪い… クリーンディーゼルエンジンが軽自動車に使えない理由とは

軽自動車の基礎知識 どんな条件があるの?

軽自動車は、乗車定員最大4名の小型の自動車です。
総排気量660ccまでの小排気量自動車で、ボディーサイズにも制限があります。
小型ボディのおかげでフレーム自体の長さが短く、フレームの剛性には大きめなキャパシティがあります。

スポット溶接の数が少ないので、しなやかさは失われていません。
このスポット溶接の数が多くなると、フレームの剛性が強くなりすぎ路面からの衝撃をフレームで吸収せずに車内まで突き抜けてくるようになってしまいます。

ディーゼルエンジンの基礎知識 ディーゼルエンジンってどんなエンジン?

ディーゼルエンジンは、トラックに多く使われてきている大排気量エンジンの代表のようなエンジンです。
スパークプラグでの点火方式ではなく、圧縮圧力によって生まれる高温の中に高圧力によって噴霧される軽油を自然着火方式を採用しています。

シリンダー内の空気を高圧縮させるため、エンジン自体の強度が必要になります。
これまでの最小のディーゼルエンジンは800ccですが、それ以上小さくするメリットはないようです。

高圧縮による高温のせいで、エンジンルームには広さがなければ冷却が間に合わなくなります。



クリーンディーゼルエンジンが軽自動車に使用出来ない

クリーンディーゼルエンジンに限らず、ディーゼルエンジンは軽自動車に不向きなエンジンになります。
エンジンサイズも発熱量も、軽自動車ではオーバースペックすぎるのです。
また、これまでに作られた最小のディーゼルエンジンが800ccでしたが、これは市販されているエンジンではありません。

ディーゼルエンジンは、小型にすることで特有の振動がより大きなものとなってしまいます。
エンジンマウントなどの材質を向上させるなどの措置が必要となります。
通常の軽自動車の装備でディーゼルエンジンを取り付けた場合、エンジンの振動によりフレームやボディー塗装面などにダメージを与えてしまうこととなります。

もし軽自動車に対応できるディーゼルエンジンがあったとしたら

軽自動車が耐えうるディーゼルエンジンがあったとしたらどうなるでしょうか。
現在はマイルドハイブリッド車と電気自動車がもてはやされている状態ですが、ここに軽自動車用の低振動で熱の発生も抑えられたディーゼルエンジンの場合、軽自動車はディーゼルエンジンを採用していくのでしょうか。

まず、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの大きな違いから見て行きましょう。
一番の違いは『燃料の差』です。
ガソリンと軽油では、現在40円程度の価格差があります。
30L給油した場合、およそ1,200円ほどの燃料費の差が生まれます。
これが電気自動車であった場合、月間定額の充電価格となりますので、燃料費用で考えるとディーゼルエンジンは割り込む余地がありそうです。

次に修理の容易さです。
エンジンの焼き付きの修理で比較してみましょう。
ガソリンエンジンは分解とアッセンブリー交換で対処します。
パーツ代と作業工賃で安く見積もって15万円程度でしょうか。
ディーゼルエンジンは、シリンダーライナーと呼ばれる筒とピストンリングの交換で済むのでパーツ代が安く済みます。
パーツ代と作業工賃を含めて10万円程度で済むでしょう。
電気自動車では、エンジンではなくモーターの修理となりますが、焼き付いてしまった場合は確実にアッセンブリー交換が必要になります。
全てを含めた金額は20万円程度は固いです。
修理の容易さは、エンジンよりもモーターの方が優位です。
しかし、原因究明までの容易さを考えますとエンジンのほうが優位です。
そして、価格的な問題も含めるとディーゼルエンジンはかなり有力といえるでしょう。

ディーゼルエンジンの小型化が進めば、かなり軽自動車の可能性が広がりそうです。



軽自動車とディーゼルエンジンは相まみえることが不可能

現実的なディーゼルエンジンの実情を考えますと、実際に軽自動車にディーゼルエンジンを搭載させるのは難しいです。
最大の問題は振動の強さとなりますが、スペース的不利が圧倒的に難しくなるでしょう。
熱対策ができるように大きな開口部を作ってしまうと、自動車の強度的に弱くなってしまいます。

ディーゼルエンジンの振動は、各接合部の緩みを発生してしまいますし、あらゆるところからオイル漏れが発生する恐れもあります。

軽自動車に使用できるレベルにまでディーゼルエンジンのデメリットを解消できた場合、軽自動車の未来は面白くなるでしょう。

まとめ

軽自動車とディーゼルエンジンは、確かに現在相性が悪いです。
しかし、欧米ではガソリンエンジン以上にディーゼルエンジンのシェアが多いことを考えますと、決して軽自動車にディーゼルエンジンを使用することはマイナスではないと考えられます。

現在はまだディーゼルエンジンの小型化に今一歩踏み込まれていませんが、今後小型化が進むに連れてディーゼルエンジンのシェアは拡大の方向に向かうでしょう。