自動車のクリープ現象について詳しく解説します

自動車のクリープ現象について詳しく解説します

クリープ現象とはどのようなことなのか?

クリープ現象はAT車で発生するもので、MT車では起こりません。AT車のトランスミッションには、スターティングデバイスとしてトルクコンバーターが使われています。そのトルクコンバーターが要因となり、クリープ現象を発生させています。クリープ現象とはブレーキを離すと、前進やバックする時速数キロほどのスピードでクルマが動くことです。まだAT車を乗ったことのない方に説明しますと、MT車ではスタート(発進)する時にギアをLOに入れ、クラッチを半分つなぐ、半クラッチの状態からスタートしますよね。また、自動車学校などで習ったことがあると思いますが、 S字クランクや駐車するときなど、ゆっくり車を動かす必要がある時は、半クラッチをキープしながら運転します。クリープ現象もほぼ同じケースで活用していきます。



クリープ現象を生み出すトルクコンバータの基本構造とは?

トルクコンバータの基本構造とは、ひとつの箱の中に満タンのオイルが入っていて、その中で3枚の羽が並んでいるものです。エンジンのチカラの入力側が羽根をポンプインペラー、出力側の羽根をタービンランナーと呼びます。その2枚の羽の間にオイルの流れを制御するスケーターという羽が設置されます。ステーターにはワンウェイクラッチが備えられており、入出力の回転数に差があるときは回転せず、入出力の回転数があった時には回転できる仕組みになっています。エンジンの回転がどのように伝達するかといいますと、ドライブプレートに接続されたトランクコンバーターカバーを介して、ポンプインペラーに伝えられ、タービンランナーの回転がアウトプットシャフトによって減速機に伝えられるというものです。簡単に説明しますと、AT車のトルクコンバータはオイルの流れのチカラを使ってシャフト側のタイヤに伝達しますので、オイルが動いている間は車が動くようになっているのです。

クリープ現象を生み出すトルクコンバータのメリット・デメリット

トルクコンバーターのメリットは先ほど説明しましたように、ゆっくり車を動かすことができるクリープ現象で、細かい操作が必要な時に重宝します。マニュアル車のように半クラッチを保ちながらの運転は初心者には難題のひとつなので、運転に集中することができるクリープ現象は大きなメリットといえます。反対にクリープ現象のデメリットは、ブレーキをしっかり踏んでいないと少しずつでも動いてしまいますので、気が緩んだ瞬間に前の車や物に衝突する可能性があることでしょう。またトルクコンバーターは完全な切り離し式の変速機ではないので、動力の伝達効率が悪く、残念ながら燃費はMT車と比べると劣ってしまいます。



ホンダマチックとCVTマチックにクリープ現象は存在する?

一般的な国産メーカーのオートマチックトランスミッションは、トランスミッション+プラネタリーギア式変速機で構成されていますが、ホンダはトルクコンバーター+平行軸歯車式変速機を組み合わせています。 ホンダマチックは作り方が違いますが、AT車と機能などはほぼ同じなので、クリープ現象が発生します。一方、日産の小型車などで採用されることがある CVTマチックですが、この CVTはトルクコンバーター+巻掛け電動式変速機を組み合わせていますが、残念ながらクリープ現象は備わっていません。しかしメーカーによっては、クリープ現象に似た動きを持ったクルマも存在しますので、CVT車にもクリープ現象があると考えていいでしょう。

まとめ

クリープ現象についてまとめてみましたが、いかがでしたか?AT車のメリットもいえるクリープ現象は、CVTなどクリープ現象が無いクルマに乗った時に違和感や不便さを感じることが多いそうです。それほど定着した車の動かし方なのでしょう。坂道発進の時にエンストを起こさず、スムーズに発信できるところが気に入っている方も居ます。一時期、踏切にゆっくり入っていくAT車が増え、改めてクリープ現象の力強さを再認識させられたことがあります。今更感が大きいですが、くれぐれもクリープ現象の扱いには注意してくださいね。